『憲法と成年後見人制度』 〜その実態と国民一人一人に権利を保障する憲法に対する違憲性〜

{成年後見人制度(成年後見人と成年被後見人)と老人ホームと行政と成年被後見人の家族とのより良い関係性の成年後見人制度を願って。}

 

現在の状態は、
家裁>成年後見人>行政>老人ホーム>成年被後見人成年被後見人家族
このような不等式が成立する現状だと認識しています。
                 ↓
私が願う状態は、
家裁>成年後見人=行政=老人ホーム=成年被後見人成年被後見人家族
です。

 

ここからは、日本国憲法第13条及び第29条を中心に本題を考えていきます。

参考資料としてこちらの二つの論文を読ませていただきながら考えていきます。

東京大学法科大学院論文及び山口県立大学論文

東京大学法科大学院論文:https://twitter.com/yumemirutotoro/status/1379813432522772486?s=21

山口県立大学論文:https://twitter.com/yumemirutotoro/status/1379824137518993410?s=21

成年後見人制度に関する身上監護について 立命館大学論文:http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/hosei-1/note.pdf

成年後見人制度諸外国との比較論文:https://core.ac.uk/download/pdf/96963743.pdf

憲法第13条:第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

憲法第29条:第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
② 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
③ 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

 

日本国憲法e-gov https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=321CONSTITUTION

 

締めは、立命館大学『法の支配』論文:http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/19-56/024hiranofinallecture.pdf

法の支配とは:f:id:yumemirutotoro:20210409201025j:image

 

 最初に、成年被後見人に選挙権を与えないのは違憲という判決を過去に東京地裁が出しました。その結果、公職選挙法が改正されて成年後見人が付く成年被後見人にも選挙権が認められるようになりました。朝日新聞論座http://www.asahi.com/special/kotoba/archive2015/kouetsu/2013080500016.html

日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1303L_U3A310C1000000/

しかしながら、私の母に成年後見人が付き成年被後見人になりましたが、母が老人ホームに入所中何回か国政選挙や地方選挙等がありましたが、母の成年後見人は一度もそのようなことは話してくれませんでしたので、私が直接選挙管理委員会に問い合わせてみましたところ、「お母様には選挙権はあります。しかし、…」この後の説明の条件があまりにも厳しく、公選法東京地裁違憲判決を出し改正されても、事実上選挙をすることはほぼ不可能と知りました。このような改正は、東京地裁が出しました公選法違憲判決を反映しているとは言えず、成年後見人が付く成年被後見人は改正公選法でも選挙権が行使できない状態はほとんど改善されておらず、この点でも成年後見人制度は、憲法違反であると言えると考えます。

東京地裁が出しました公選法違憲判決についての論文:https://kusw.repo.nii.ac.jp/index.php?action=pages_view_main&active_action=repository_action_common_download&item_id=349&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1&page_id=24&block_id=42

日本国憲法第15条第1項:第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
② すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
③ 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
④ すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。』e-gov より引用。

 

次に憲法第13条のインフォームドコンセントの法理と自己決定権から、成年後見人と成年被後見人成年被後見人家族との関係性を考えてみます。

参考資料:東京大学法科大学院 インフォームドコンセントと自己決定権:http://www.sllr.j.u-tokyo.ac.jp/02/papers/v02part04.pdf

参考資料:日本弁護士連合会 医療と感謝の権利:https://www.nichibenren.or.jp/document/civil_liberties/year/1992/1992_3.html

参考資料:

憲法上の方の支配の学説は、(芦部信喜 憲法 岩波書店より引用)

p13-14 立憲主義と現代国家ー法の支配

近代立憲主義憲法は、個人の権利•自由を確保するために国家権力を制限することを目的とするが、この立憲主義思想は法の支配(rule of law)の原理と密接に関連する。法の支配の原理は、中世の法優位の思想から生まれ、英米法の根幹として発展してきた基本原理である。それは、専断的な国家権力の支配(人の支配)を排斥し、権力を法で拘束することによって、国民の権利•自由を擁護することを目的とする原理である。ジェイムス一世の暴政を批判して、クックが引用した「国王は何人の下にもあるべきではない。しかし神と法の下にあるべきである」というブラクトンの言葉は、法の支配の本質をよく表している。

 法の支配の内容として重要なものは、現在、①憲法最高法規性の観念、②権力によって侵されない個人の人権、③法の内容•手続きの公正を要求する適正手続き(due process of law)、④権力の恣意的行使をコントロールする裁判所の役割に対する尊重、などだと考えられている。

 

では、成年後見人制度における成年後見人と成年被後見人と行政と老人ホームと成年被後見人家族の実態はどうでしょうか。

憲法第13条インフォームドコンセントの法理に基づく自己決定権を成年後見人制度に当てはめて考えてみますと、私は、当該制度は違憲であると考えます。安楽死と延命治療をするかどうかの決定権から考えます。

その理由として

1) 安楽死の場合には、本人の明確な意思が複数の医師により確認されさらに最後の時も本人の手で致死に至る行為を明確な意思を持って行うという完全な自己決定権に基づいています。これは日本では認められていませんので海外の安楽死のケースからです。

2)成年後見人がついている成年被後見人は、延命治療をするかしないかのインフォームドコンセントの法理に基づく自己決定権を行使できません。全くの他者である成年後見人と老人ホームの主治医との間で成年被後見人の延命治療をするかどうかを決定しているのが現状です。

成年被後見人の明確な意思に基づかず、かつ家族の意思も無視をし、インフォームドコンセントの法理に基づく自己決定権の行使がなされていない状態は、憲法第13条のインフォームドコンセントの法理に基づく自己決定権に反し、違憲であると考えます。なぜならば、成年後見人と老人ホームの主治医ではなく、家族と老人ホームの主治医の間でそれは法律上行われることであり、成年後見人の権限外だからでもあります。成年後見人と老人ホームの主治医だけで延命治療をするかどうかの決定権を行使できるのは家族等の身寄りが全くいない人の場合にのみ認められる成年後見人の権限だからです。

 

 老人ホームでの『看取り介護』は、消極的安楽死のように私には思えます。老人ホームの主治医と成年後見人との間で母の今後の生き方を、家族である私を排除して決めてしまうことは、当該二者間で母の消極的安楽死を母の憲法第13条のインフォームドコンセント法理に基づく自己決定権まで排除して決めることは、成年後見人制度も想定していないことですし、消極的安楽死幇助(母が望んでいたかどうかの確認もできないままに)に該当する蓋然性も否定はできないと考えます。母のことは、全くの他人である老人ホームの主治医と成年後見人との間でわかるはずがありませんから。母の意思を代理する法定代理人、つまり成年後見人は形式的な存在でると考えるのが合理的であると思います。この点からも憲法基本的人権の尊重や自己決定権に違反していると考えられると思います。

 

e-gov より「第十章 最高法規
 
第九十七条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」

 

参考記事:Swissinfo ch (スイスの公的機関)こちらです。https://www.swissinfo.ch/jpn/%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9-%E5%AE%89%E6%A5%BD%E6%AD%BB-%E8%87%AA%E6%AE%BA%E3%81%BB%E3%81%86%E5%8A%A9-%E6%AD%BB%E3%81%AC%E6%A8%A9%E5%88%A9/46204260

参考記事(難病の女性がSNSを通して知り合った医師二人に嘱託殺人を依頼して死亡した事件)Wireless wire news :https://wirelesswire.jp/2020/07/76554/

東海大学安楽死事件判決とその今日的意義 立教大学論文:https://www2.rikkyo.ac.jp/web/taki/contents/2007/20070507.pdf

東海大学安楽死事件判決 大阪大学資料:http://www.let.osaka-u.ac.jp/~cpshama/gyouseki/pdf/material-061022.pdf

東海大学安楽死事件判決横浜地裁判決文:https://square.umin.ac.jp/endoflife/shiryo/pdf/shiryo03/04/312.pdf

 

最後に、憲法第29条第1項の私有財産はこれを侵してはならない。

これに関して、成年後見人制度の違憲性の私の考えを述べたいと思います。

成年後見人の職務の一つとして成年被後見人の財産を管理することが当該制度により定められています。したがって、成年後見人は成年被後見人の家族の生活状況など全く考慮せずに家庭裁判所を背景として有無を言わせずに家族から成年被後見人の財産を分離して管理し始めます。老人ホームに入居すれば、成年被後見人の自宅の売却までもがその権限となります。

 

私は、一つの仮定として「妻が専業主婦で、夫の収入だけで生活をしてきて、夫が認知症等になり成年後見人が家庭裁判所より決定されてついたと考えました。」成年後見人は、成年被後見人の財産を管理し始めます。しかしながら、妻は専業主婦で今まで夫と人生を歩んできて妻の収入や財産はありません。成年後見人が成年被後見人となった夫の財産を管理し始めますと、その妻はその瞬間から生活ができなくなってしまいます。当該事例は今後ますます発生してくるであろうと私は考えています。当該事案のようなケースでは、成年後見人は、その職務権限において、成年被後見人である夫の財産を全て管理され、妻の生存権を奪われる可能性が発生してくることが考えられます。年金にせよ預貯金通帳にせよ金銭的財産は全て成年後見人の管理下になります。

 

このような権限を法律上定め、家庭裁判所の決定による成年後見人により、私有財産権も妻の生存権までも否定され憲法13条で保障されている妻の幸福追求権さえ否定する結果をもたらしていると考えます。

 

このような法律的権限を家庭裁判所が決定した成年後見人に付与する成年後見人制度は、違憲であると私は考えます。