憲法は政府与党と最高裁判所との関係性の上で生きている。

憲法は、国民一人ひとりの権利や国家の責任義務等が書かれている。しかし、憲法の条文がそのまま国民一人ひとりの権利を保障しているかといえばそうではないと考える。なぜか。憲法の条文の解釈を決定し、国民一人ひとりの行為が憲法の保障する権利かどうかは最高裁判所により確定されるからである。

 

憲法が「生ける法」と言われるのは、政府与党と最高裁判所との関係性の上で生きているからだと私は考える。では、政府与党と最高裁判所との関係性とは何か。それは「最高裁判所の判事の人事権」である。米国の最高裁判所の判事も前大統領の下で二人が代わって保守一色になりました。

 

最高裁判所の人事権を掌握するということは、憲法の解釈が変わり憲法を修正または改正したような効果があると私は思います。具体的な例を挙げてみます。オバマ大統領当時、合衆国最高裁判所の判事は、保守派、中道派、リベラル派で構成されていました。「同性婚を全米にわたって認めた画期的判決」を出したのも5-4で最後の1人であったケネディ判事が賛成し成立しました。他方最近の例ですが、女性の死刑囚の執行がトランプ政権下で行われました。この女性死刑囚の犯罪は確かに死刑に相当する犯罪であった一方で、この死刑囚の幼少期から今日に至るまで継続的な家族等からの性的、暴力的、精神的な「拷問」を受け続け、精神疾患に罹患し、死刑が何かということさえ理解できなかった。合衆国憲法修正第8条は、そのような疾患に罹患しているものの刑の執行を禁じています。したがってこの女性死刑囚の弁護団は合衆国最高裁判所トランプ大統領に刑の執行を中止するように嘆願していましたが、予定どおり死刑囚死刑は執行されました。(弁護団の嘆願は、死刑から終身刑への減刑)です。

 

憲法が独立していて各条文どうりに国民一人ひとりの権利を保障しているならば、合衆国憲法修正第8条により刑の執行は停止されたことでしょう。しかし、トランプ政権下で2人の合衆国最高裁判所の判事が代わりその指名者たる大統領と上院の任命(当時は共和党が多数)により任命された合衆国最高裁判所判事は保守一色となり合衆国憲法修正第8条でさえ尊重されないようになってしまいました。憲法が「生ける法」である限りこのジレンマは国民一人ひとりの権利の保障に大きな影響をを与えると私は思います。

 

憲法が政府与党と最高裁判所との関係性の上で生きているというのはそういう意味で私は考えていてこの表現を使用しました。

 

日本と比較してもほぼ同様のことは言えると私は考えています。

 

アメリカ合衆国憲法にせよ日本国憲法にせよ「政府与党と最高裁判所との関係性の上で生きている」すなわち、生ける法と言えるでしょう。「生ける法」であるからこそ、国民一人ひとりの憲法の諸権利の保障を守る行為が極めて大切だと考えます。

 

歴史を振り返ると、ワイマール憲法ナチスヒトラー政府の関係性からも同様のことが言えると考えます。ワイマール憲法第48条(国家緊急権)として「授権法」を非常事態法として制定できるようになっていました。ヒトラーナチス政府は、ワイマール憲法第48条を使い次々と授権法を制定し、その集大成として『包括的授権法』すなわち『全権委任法』を制定することによりワイマール憲法を無効化することに成功しました。ワイマール憲法自体を修正したり改正したり破棄したりすることなく無効化したのです。また次々と制定された授権法により「裁判所」も形骸的なものとしてしまうことに成功しました。

Quoting-"At Auschwitz we see the end of the long process. It's important to remember that the Holocaust did not start from gas chambers & murder.

The hatred slowly developed from ideas, words, stereotypes & prejudice, through legal exclusion, escalating violence & dehumanization."

https://twitter.com/auschwitzmuseum/status/1354402844670091269?s=21

 

他方日本は、

超法規的私権の制限の具体的なイメージは、ハンセン病隔離政策にあると考えます。新型コロナ特措法改正で強制隔離、すなわち、改正新型コロナ特措法緊急事態宣言が発動されると療養所に強制的に隔離する政策を、それに近い政策をしてくると思います。上述しています、京都大学論文『ペスト隔離の恐怖』も強制隔離ですから。当然に憲法上の国民一人ひとりに保障された私権等基本的人権等権利は改正特措法緊急事態宣言で停止すると考えれば矛盾なく『超法規的』政策としてかつ効果的に新型コロナ感染者数を抑え込むことはできます。

日本のハンセン病予防隔離政策と初期のヒトラーナチス政府のホロコーストの目的と一致するところがあるように思います。NHK ハートネット https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/266/

新型コロナウイルス感染症法の行政罰や刑事罰は、差別や偏見を生む可能性が高いと思います。そこからエスカレートしてくるとヘイトスピーチヘイトクライムなどへとなって行きそうな懸念を持ちます。

 

このように考えますと、やはり、憲法は時の政府と最高裁判所との関係性の上で生きていると私は考えます。

 

追記)『1984』dystopiaに関しては、エドワード・スノーデン氏のツイートを引用させていただきます。https://twitter.com/Snowden/status/1248748534024876038?s=20

 

こちらもエドワード・スノーデン氏のツイートを引用させていただきます。https://twitter.com/Snowden/status/1248747542285860864?s=20